桜を見て喜ぶペットのトイプードル、ちょこちゃんの絵です。

SMサイズ(227×158)

ちょこちゃんは、その年の春にガンで亡くなったばかり。亡くなる少し前、もうあまり元気ではなかったちょこちゃんを桜のあるところに連れて行ってあげると、とっても喜んで桜を眺めていたそうです。

その時の喜んでいる姿を思い出せるように、絵に描くことにしました。

陰陽五行的には、依頼主にとって犬は幸運を呼ぶ象徴です。きっとこれまでもたくさんの幸運を運んでくれたことでしょう。

また、『自分の想いを伝えられるように』という願いを込めて、黄色の岩絵具を使って描いています。依頼主にとってのコミュニケーション力を高める色が黄色になります。黄色の絵を身近に置くことで、想いを伝えるための力になってくれることでしょう。

日々眺めるたびに、このことを思い出してみてほしいです。

この絵が、依頼主にとっての癒やしであり、パワーアップの源泉になりますように。

※クリックすると拡大します。

『ちょこちゃんと桜』制作工程

その1
小下絵(こしたえ)を描く。

鉛筆画。色鉛筆で色も着けます。

小下絵は何枚か描くようにして、どんな絵にするのかを考えていきます。色もいくつかパターンを考えます。

小下絵でしっかり描いておくと、この後の工程が楽になります。

その2
下絵を写し取る。

下絵を完成させたものを一旦トレーシングペーパーに写し取ります。

画像は、トレーシングペーパーの裏側を鉛筆で擦ったものです。裏側に鉛筆の粉を載せておくことで、表側の絵をなぞったときに転写できるようになります。

その3
パネルに和紙を貼る。

パネルに和紙を貼ります。和紙に水を含ませて少し膨張させた状態で貼ることで、乾いたときにピンと貼ります。

和紙が乾いたら、胡粉(貝殻を砕いたもの)を下塗りして下地にします。

その4
和紙に下絵を写す。

和紙を貼ったパネルにトレーシングペーパーを重ねて置き、上からペンでなぞります。

トレーシングペーパーの裏についた鉛筆の粉が和紙に残り、下絵が転写されます。

その5
骨描き(こつがき)をする。

和紙に写した下絵の線を、墨でなぞり書きします。

このあと絵の具を重ねていくときにわかりやすいように線を引きます。

その6
水干絵具で下塗りをする。

水干絵具(すいひえのぐ)は、天然の土をベースに染料で染め上げたものです。

水干絵具は水彩絵の具みたいに手軽に使えます。ここでは下塗り用として使いました。

水干絵具を下塗りすることで仕上がりがきれいになり、岩絵具を乗せやすくなります。

その7
岩絵具を塗り重ねる

日本画の特徴でもある岩絵具を塗り重ねていきます。

岩の粒なので、そのまま塗っても定着しません。なので、膠(にかわ)を水に溶かしたものを練り込んでから、和紙に乗せていきます。

一度塗っただけだとあまり色が着かないので、何回も何回も塗り重ねます。

その8
箔を貼る。

金箔や銀箔といった箔を貼ったり、撒いたりします。

今回は最後の仕上げに、砂子と言って、金箔を細かくしたものを撒いています。

その9
神様にお祈りする。

描き終えた日本画を持って、氏神神社でお祈りしています。

一般的な日本画の制作工程ではないのですが、『あなたの日本画』では、依頼者の願いが叶うようにこの工程を入れています。

ご依頼者さまの声

今年の春、末期ガンで愛犬を亡くし今も沈んでいたところに、『私のために絵を描いてくれるというご案内』を見つけました。

何処か祈るように詳細を見ていました。写真は心残りになるかと飾れずにいましたが、なにかちょこの面影を感じるものが欲しいと思っていたところでした。

なのでお願いしたのが、桜の元で見たあの子の笑顔。

桜を見た時のキラキラしたあの子の顔も、柔らかな空気も、やっと帰ってきてくれたんだな…って、受け取った絵を見た瞬間の気持ちはもうこれに尽きるって感じでした。

ちょこが帰ってきたみたいに嬉しくて温かいきもちにさせていただきました。大事に飾らせていただきます。

間宮さんの画家としての活動が良きものであることを願って、大きな感謝と愛をこめて。

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